
ヒトの全身を覆う皮膚は体重の16%を占める人体での最大の臓器です。それだけに医師になれば皮膚疾患は必ず経験することになります。特に初期臨床研修を終えた方でしたら研修中に皮膚科に何度も依頼したことがあるのではないでしょうか?皮膚科の魅力というのは診断、治療という過程がこの目で見られることです。アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬といった患者さんがきれいな皮膚を取り戻すにつれて笑顔を取り戻す。そういう光景をみるのはこの上ない喜びです。また皮膚科といったらストロイド塗っているだけというイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?これはすでに過去の話です。近年の免疫学の発達により、新しい治療法が日々確立され、皮膚科は大きな変貌を遂げ、もっともエキサイティングな分野となっています。
当教室では、良質の医療を提供するために、皮膚科に関係した総合的な知識と技術を習得できる環境を構築し、優秀や皮膚科臨床医の育成に努め、先進医療を実践すべく新薬の臨床治験や臨床研究を実施しています。繰り返し学習、チームワーク、ネットワーク(学内、病診連携)を大事にすることをモットーに、明るい教室を目指しています。
診療体制は外来部門と入院部門に分かれ、外来では湿疹からアトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、皮膚腫瘍、皮膚感染症、脱毛症、水疱症など皮膚疾患全般にわたる一般外来のほか、他科からの依頼も多く、小手術も毎日行っています。また、乾癬外来(ナローバンドUVB療法を含む),アトピー性皮膚炎を中心としたアレルギー外来,腫瘍外来などの専門外来を設けています。入院では、一般的な皮膚疾患の治療や重症皮膚疾患の診断と治療を中心に、悪性腫瘍の診断や集学的治療もおこない、難易度の高い手術では形成外科と共に治療にあたるなど、他科との連携も多く行っています。
当教室の教育目標は、将来の専門分野にかかわらず、多岐にわたる皮膚疾患の臨床経験を踏んで、診断と治療ができる知識と技術を修得することです。
さらに早い時期から日本皮膚科学会認定専門医を目指します。そのためにはできる限り多くの皮膚疾患の臨床を経験し、診断と治療のための知識・技術を身につける必要があるため、以下のような学習方法で日々学んでおります。それが効を奏してか、毎年高い合格率を誇ります。また、資格を得るのに必要な実績を積むためにも、学会発表や論文の執筆も積極的に行っています。
病棟回診:病棟医だけでなく医局員が全員参加し、重症皮膚疾患を含めた様々な皮膚疾患の臨床やその診断と治療についての知識を共有し、理解を深めます。
組織検討会:毎日行われている外来手術や良・悪性腫瘍の手術の組織を、臨床と照らし合わせながら医局員全員で検討し、学習していきます。
症例検討会と抄読会:個人で勉強・学習して知り得た知識を発表することで、知識を共有し、繰り返し学習します。
学会や研究会への参加:各種学会や講習会、講演会に積極的に参加し、また自ら発表して自己研修に努めます。
論文の執筆:指導医のもと学会発表した症例の論文を執筆していきます。
研究においては臨床研究のほか、希望により大学院へも進むことが可能で、基礎医学研究から臨床に直結するような研究を行い、学位取得を目指すこともできます。また専門医を目指す横断型大学に進学することも可能です。当医局は、乾癬、悪性黒色腫、アトピー皮膚炎などのアレルギー性疾患を3本柱に研究を進めています。乾癬の研究や皮膚腫瘍の発生機序や抗癌剤の耐性機序、アレルギー性皮膚疾患の分子レベルでの解析、また慢性蕁麻疹の研究など、臨床に直結する研究を幅広く行っています。
現在医局員が20名ほどの医局ですが、和気藹々と、かつ、お互い刺激し合いながら日々の診療・研究に励んでいます。臨床を極めたい方も、研究者として研究に勤しみたい方も大歓迎です。ともに皮膚科学を学びましょう。